2018/12/03

ベークライト製のオモチャのようなカメラです。(今時の言い方をすればトイカメラでしょうか)
懐かしい響きです。ベークライト!!
1950年発売ということですが、既に多くの立派なカメラが各社から発売されていますね。
でもこれは決してオモチャとして売られていたわけではありません。
言ってみれば良い子のカメラといったところでしょうか。



実はこれが私の初めてのカメラでした。
今見ると、とんでもなく簡単な作りでまさにオモチャ。
絞りなし(f8程度らしい)、シャッタースピード凡そ1/25とバルブのみ、単玉レンズの固定焦点
ファインダーに至ってはただの穴開き窓。
ボルタ判といわれた紙巻のフィルム使用でした。
未使用のデッドストック品が出たので 一瞬でタイムスリップして思わず購入。
忘れていた60年前の感触がまざまざと蘇ります。
説明書によれば革ケースが付属していたようですが、私にはケースを使った記憶がありません。
中古品だったのでしょう。
当時の価格は500円前後だったようです。
昭和32年のそば1杯の値段は30円〜35円だそうです。
そば15杯分にもなる値段は貧乏家庭には大きな出費だったことでしょう、親不孝者ですね。
小学校6年のある時、富士フィルム主催の豊島園での撮影会がありましてそれに応募したんですね。
なんと三等入選となり、浅草の松屋デパートで写真展が開かれ、そこで表彰式。
賞状と三等賞の盾をいただきました。(今思えば結構なイベントだったのですね)
その上、六切りに引き伸ばされた写真額が松屋デパートの片隅に数日展示されました。
表彰式には確か両親も来ていたはずです、一人では行けなかったですから。
でもまあこんなオモチャカメラで入選とはね。つまりそれなりに写ったということですね。
応募は棒焼きでした。
入選連絡がありネガを送れといわれて送りましたが、入選した写真はネガの最後から二番目。
60年ぶりに告白すれば、その写真は撮影会も終わった帰りがけ、フィルムが2枚残ったまま現像に出すのは勿体無いと、なんとなくシャッターを押した中の一枚だったんです。
(当時のフィルムは高かった)
全く情けない話です。
その後一時このカメラで少年向けの写真雑誌に応募して数回の入選と、佳作が続きましたが
(佳作は名前だけで写真掲載なし)中学生になって興味は音楽に移り写真趣味は終わりました。
後年自分で購入したカメラの最初は確かリコーオートハーフだったと思います。
ゼンマイによる自動巻上げが新鮮に感じた記憶があります。1960年半ばくらいでしょうか。



シャッターボタンとシャッター切り替えレバー。
バルブのBとIのマーク。Iはインスタントの意味らしい。

シャッター解放状態です。心許ないバネが見えます。


ところで、手に入れたものは裏蓋開閉式ですが、私が使っていたものはボディーの上面を外してフィルムを装填する形式だったように思います。どうやらそれが初代で、こちらの裏蓋式は1956年発売の2代目のようです。
外見は寸法、形状とも一緒です。60年前の感触を蘇らせるには十分です。

こんなに小さかったんですね。
もっともっと大きく感じていましたが。