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初期鍋島 梅花竹垣文五寸皿

梅を主題に描かれた鍋島なんですが、華やかな雰囲気を持っているため
つい桜に見えてしまう皿です。
梅と桜は鍋島でもよく描かれていますがその形にはハッキリとした違いがあります。

これと同じ竹垣に桜や石榴などを組み合わせた同様の意匠のものが何点か図録等にも
収録されています。定番図柄の一つなのでしょう。

色鍋島の皿としては、やや初期の分類に入るものだそうですが、最盛期の木盃型台皿ほどの
形の厳しさはまだ完成していないような気がします。
盛期のものより立ち上がりが浅いですね。

色絵の一部に色秞の煮えが出ています。
最近東京の古美術店に出た同手の皿にも同じく色絵の煮えが見られました。
まだ発展途上で焼成技術が安定していなかったのかもしれません。

図録などでも仔細に見てみると、この皿と同じ色使いの葉の部分にはわずかですが煮えたような
部分があるものがあります。ひょっとするとこの色は融点が低いのかもしれませんね。

鍋島色絵の特徴でもある 染付による輪郭線が梅の赤い描線部分で確認できます。
この輪郭線があることで梅の花に深みが出ているように感じます。

懸命に勉強していた若い頃と違い、美術館も古美術店巡りも とんとご無沙汰で
もともと数の少ない鍋島なぞを手にする機会がないだけに、図録頼りの乏しい半端知識では
なかなか難しい焼き物です。

40年ほど前に色絵の有名な青海波に牡丹の七寸皿を購入したことがあります。
大先輩の師匠に本歌ではなく大聖寺手だと即断されました。
その時初めて染付の輪郭線を教えて頂いたのですが
確かに下書き線がなかったですね。もう一つはやはり高台の厳しい造りの違いでした。

鍋島梅竹垣1

鍋島梅竹垣2

鍋島梅竹垣3

鍋島梅竹垣4

鍋島梅竹垣5

鍋島梅竹垣6

鍋島梅竹垣7

鍋島梅竹垣8

工藤 吉郎著 『鍋島』によれば延宝時代ということですが、
初期鍋島-古鍋島-盛期鍋島という従来の分類法も変わってきているようで、
鍋島は古伊万里ほど年代の整理が簡単ではないようですね。
鍋島色絵梅文皿

こちらはネット上で探した同手ですが、やはり葉の部分の色絵が煮えて飛んでいる部分があります。

th_鍋島梅竹垣9


藍鍋島唐花文輪花向付

藍鍋島の輪花唐花文向付です。
いかにも盛期鍋島らしく、成形にも破綻がなく、絵付も精細です。
鍋島の向付は各種図録で発表されていますが、本作品と同一の器形には工藤吉郎先生の著作[鍋島]の中で採り上げている青磁向付があります。
三陵・三輪花の少々大振りの向付とあり、元禄初め頃までの作とされています。
この作品もその前後とみて良いのではないでしょうか。
こちらは唐花文で良いと思いますが、

こちらは宝文になるんでしょうか。

高台もまったく破綻無く丁寧に作られています。


塗り込んだだけのように見える葉もしっかり葉脈を書込んでいて、
さすがに手抜きががありません。

山陵・三輪花


工藤吉朗著【鍋島】から転載させていただきました
鍋島青磁向付
今回私のささやかな蒐集品をブログに記録していこうと思いつき少しづつ写真アップしていますが改めて自分の撮った写真を見てつくづく写真の難しさを感じています。
今回の鍋島も生地の色が実際よりも黄色味を帯びています。
無理に色温度を変えても肌の柔らかさが消えていくような気がして納得のいく磁肌の感じが出ません。
もっと努力ですね。

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