2018/12/05
吸坂手 輪花皿
吸坂手といわれる焼き物は数が少ないだけに、なかなか入手の難しいものです。かつては古九谷吸坂手と言われた時代がありましたが、今では伊万里焼きの一ジャンルとされ、
山小屋窯(1640~50年代初頭頃に操業した窯)や百間窯で焼かれたといわれます。
今回ご紹介の品は大変に薄作でシャープな小皿です。
吸坂手は上手の藍九谷や松が谷手のような瀟洒な雰囲気のものが多いという印象があります。
周囲の輪花は六陵を持っていますが、正確に六分割されてはいません。
この部分は多分型で抜いていると思うので正確に分割することは簡単なことでしょうが、あえてファジーな分割をすることで柔らかな雰囲気を醸し出しているような気がします。

吸坂手の器は、べたっとした柿釉のような感じに上がったものや銹釉、濃い目の鉄釉のものまで
結構幅がある印象がありますが、ご紹介する本作はどちらかといえば透明感のある薄めの銹釉という感じです。
更には焼きムラというか、色ムラというか、焼物としては不完全かもしれない様子が景色となってなんとも魅力的です。
裏の輪花の縁に櫛目も入って無地の皿のアクセントとなり、さらに魅力度アップです。
直径14.3㎝ 高台径7.3㎝ 高さ 2.4㎝




貴重な吸坂に奮発して、張り込みの印籠箱を新調しちゃいました。
