2016/04/03
ニキシュのベートーベンNo.5
1年程前にベルリンフィル100周年記念ボックスCD50枚入りを購入しました。1万円程度で50枚入りのCDセットが買えるというのは嬉しい限りではあります。
CD1枚が200円ということですからね。著作権が切れているとかの要因もあるのでしょうが。

初めてのレコーディングから最新のものまで代表的な俗にいうところの名盤集みたいなものでしょうか。当然後ろの方が新しいレコーディングなわけで、初めの方は聞いていなかったのですが、どんなものかと思ってCD1のニキシュのベートーヴェンNo.5の運命を聞いてみました。

この録音がベルリンフィルの最初の録音だそうです。
1913年の録音ですから当然、電気録音でなく、アコースティック録音で、言って見ればエジソンのメリーさんの羊と大きな差は無いわけですから音質は推して知るべしです。(それにしてもどんなラッパを使ったのか興味があります)
ニキシュの指揮によって生み出される響きは非常に神秘的な色彩を帯び、当時の作曲家たちは自らの作品がその色に染まっていくさまを、驚きを持って聴き入っていたという事ですが、かのトスカニーニはこの録音について、「私の知るニキシュの演奏とは違う」と語ったと言われているそうです。
この音を蓄音機で聞いたら多分そう思うだろうなと私も思います。
低音も高音も殆ど無し、ヴァイオリンの繊細な響きもなし、残響は殆ど拾っていません。木管類の音質は特に悲しいほどに割れてとてもこれがベルリンフィルとは思えないほどです。
金管ではホルンだけが本来の音に近いようですがどういうわけかトランペットとトロンボーンの差がわかりません。
スクラッチノイズがひどくて弱音部ではノイズの中からわずかに響く音楽を拾うように聴かなけれななりません。
従ってとても疲れます。しかし何回か聞いているとそれなりに音楽に入っていけるのはやはりニキシュの実力か、
はたまたベートーヴェンの曲の魅力なのか。

ベルリンフィルのニキシュの後任常任指揮者となったのが巨匠フルトヴェングラーだそうです。
フルトヴェングラーのベートーヴェンNo.5は名盤の誉れ高いものですが、
どういうわけか手持ちにコロンビア版のものが有りました。
SP盤5枚組です、全曲を聴くには10回蓄音機の針を落とさなければいけません。
これまた手持ちのオンボロ蓄音機(非電気式ゼンマイ動力です)で聞いてもそれなりの音が聞こえるということは
この録音では電気式録音になっていたのでしょうね。



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