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藤原 啓  備前緋襷茶碗

備前の人間国宝  藤原 啓さんの緋襷茶碗です。

昭和31年金重陶陽さんの人間国宝指定に続き昭和47年に2人目の指定が藤原 啓さんでした。轆轤の名手山本陶秀さんがそれに続いて昭和62年に指定となりましたが、個人的にはもっと早くてもよかったのかなと思います。

入手した時期を考えるとおそらく1975年前後の作品だと思います。啓さん70代半ばということになりますが、元々文人の啓さんが作陶を始めたのが40歳の時で、陶工としては遅いスタートだったにもかかわらず急速に藤原備前を確立し、その頂点に上り詰めた時期でしょうか。

啓さんの備前はそれまでの備前とは一味違う現代的な造形と桃山備前の匂いを併せ持つ個性的な作品となっているように感じます。

この茶碗は口辺に出ている帯状のカセ胡麻と青黒い地肌にかかる緋襷が見所となっています。この地肌の色は青備前のようにも見えます。小さな石はぜ一つも景色となっています。

やや小ぶりですが、深さがたっぷりあって手の中にすっぽりと納まる、使い勝手の良いお気に入りの茶碗です。



火裏も上下で片身代わりのような景色となっています。無釉陶の面白さです。


啓さんのカセ胡麻と青黒い地肌に紅い火襷。

この窯印と落款の組合せは昭和24年から58年にかけて使用されたそうです。


二重箱にしていたので箱が綺麗です。

伊賀耳付花生 谷本光生作品

桃山伊賀復興に努めた谷本光生さんの耳付花生を紹介します。

大正5年生まれの谷本さんが古伊賀に感銘を受け昭和21年に洋画家から陶工に転身したのは30歳という。 そこから古伊賀再興に精進し、制作に励みました。今回ご紹介する花生は1970年代後半頃に入手した物ですが、この頃には古伊賀を超えたとはいいませんが、その域には達したといっても過言ではない作品群が生まれています。

以下に谷本さんの著書から引用しながら書かせて頂きます。 俗に「伊賀の七度焼き」と言われますが、実際に七度も焼成したわけではなく、何回もあるいは何日も焼いたことの喩えであると谷本さんは言っています。

六古窯の焼物は通常焼成回数は、日数は別にして回数は一回です。しかし伊賀の粘土は二、三度同じ作品を焼き、あるいはそれ以上に焼くことにより「釉」「焦げ」「火色」を出している。

今回ご紹介する作品も何度かの焼成を繰り返し火前の強火度で焼ききっているように思えます。

この作品のような伊賀特有の焦げは窯の最前列の一番下に窯詰めをしたものだけに現れる現象だそうです。ここは燃えた松薪が燠(おき)となってそれが積もって器に炭素が入って焦げが付く。裏側には火色が出る。伊賀の火色は極めて高い温度(1400度)での焼成なので信楽の緋色と異なり、よく焼き締まった素地の上に焼きついた「焔の色」そのものなのだと、谷本さんは著書に書いています。

谷本光生著 [伊賀焼] 2009年5月発行より「伊賀焼と私」の一部分引用

いろいろな道程を経て現在まできた。ずいぶんと回り道もした。しかし、近道をした者が遠くまで行くとは限らない。かえってかけがえのないものを得たことも多くあったと思っている。その間、現在に至るまで、絶えず造形を工夫し、格調の高い作品をと、一貫した制作態度を持ち続けてきた。

作品にねらいや構えがあってはいやしくなる。技巧にかたよらず、器用に陥らず、そして作品は落ち着いていて、深さがあるようにと努めてきた。(原文のまま)

伊賀花入れ05

伊賀花入れ06

伊賀花入れ07

伊賀花入れ09

伊賀花入れ08

伊賀花入れ10

首周りのビードロ釉溜まりも見所です。

伊賀花入れ11

伊賀花入れ12

伊賀花入れ13

伊賀花入れ14

伊賀花入れ15

火前の焦げ

伊賀花入れ16

火裏の火色「焔の色」

伊賀花入れ17

伊賀花入れ18

伊賀花入れ19

伊賀花入れ20

瀬戸褐秞茶入 桃山時代

現在のところ蒐集品の中で桃山時代とほぼ確定できる唯一の品という意味で、私には大変貴重な品です。(もうコレクションが増える見込みがほぼないので、、、、、)
口縁にわずかな欠けがありますが、窯跡からの掘出し品としてはほぼ完品と言っていい状態なのが嬉しい限りです。二カ所の欠けのうちの一つは40年ほど昔に風呂場で洗っていて、ついコロッと手を滑らした時のもので惜しいことをしました。(いずれ金繕いでもしたいなと思っています)
窯跡の掘出しというのは、まあ盗掘品ということですね。
後述しますがこの窯の公的な発掘調査は2003年で、購入したのはその25年ほど前の事ですから。

400年ほど土中にあった物ですから、さすがにややカセた部分もありますが、釉肌の光沢は十分に残っていて鑑賞あるいは実用に耐える状態です。
入手当時、一週間以上ハイター漬けにしてみましたがやはり細い貫入に入り込んだ土は抜けなかったですね。茶入としての実用には必要なことですけれど。

茶入としてはかなり厚手の造りです。入手当時古美術大先輩に厚手の茶入はダメと言われて意気消沈したものですが、この窯の茶入は二手あると後述の報告書にもあり、今はこれで良いのだと思っています。

茶入に石はぜの景色が良いとは言い難いので、このあたりが物原に放置された要因でもあるのでしょうか。

400年の土中の痕跡ですね。

胴紐と黒釉の溜まりが景色となっています。

仕覆と牙蓋は当然の後付けです。
th_DSC_3448.jpg

箱書は菊田清年さんで 桃山時代 平次窯としています。幣子窯(ヘイジ窯)を平次窯と表現しているようです。
以下に愛知県埋蔵文化センターの報告書のごくごく一部を引用させて頂きます。
http://sitereports.nabunken.go.jp/files/attach/1841/1492_1_%E7%93%B6%E5%AD%90%E7%AA%AF%E8%B7%A1.pdf
瓶子窯跡の発掘調査は、東海環状自動車道建設に伴う事前調査として、国土交通省愛知国道事務所より愛知県教育委員会を通じた委託事業として、平成 15 年 4 月から 6 月の期間で実施した。
調査した瓶子窯跡の位置は、赤津村の近世の窯跡のほとんどが赤津川以北の丘陵部集落内に造られたのとは対照的であり、集落から離れ単独で存在する特異な立地であることが指摘されてい た。またこの窯の周辺は、多くの茶入が散布する場所として古くから知られており、その骨董的評価の高さからごく近年まで周辺の物原は激しく盗掘が行われていた 。
この窯で生産された茶入の評価を高めてきた理由はその名称にもある。「瓶子窯」の名は小堀 遠州の門下の茶人が記したとされる『茶器弁玉 集』(寛文 12 年(1672)に編纂)「瀬戸竃所之 次第」に「一 瓶子竃 藤四郎此竃ニテ唐物ヲ焼 ト云説アリ」とあり、陶祖藤四郎が唐物写しの茶入を焼成したという伝説の窯の名称として挙げられている。勿論、調査した本窯は藤四郎の活動したとされる鎌倉時代の窯ではない。ただ『茶器弁玉集』の成立年代と本窯の操業年代はほぼ一致 しており、なおかつ「茶入」を最も大量に焼成していた窯であることは確かであり、ひとまず「瓶子窯と呼称されている *2。
*2...ただし「ヘイジ窯」と呼ばれていた可能性はある。『瀬 戸市史 陶磁史篇一』では「うふふはむへへし」と刻まれた直径9cm 程度の壺の底らしい陶片について紹介されており、ここでは混同を避け遺跡に「平次窯」の文字を当てている。また安藤政二郎 1941『瀬戸ところどころ今昔物語』(大瀬戸新聞社)では「赤津地方の言い伝えによれば平次という窯焼が焼いていたので[へいじ窯]の名が伝えられた」とある。
発掘品の写真を1枚転載させて頂きました。

菊田清年さんの箱書です。

備前小徳利

備前研究第一人者の桂又三郎先生の箱には、献上小徳利(箱表)・江戸初期之作とあります。
類品少なく珍品也ともありますが、こんな小さなものをなにに使用したのでしょうか。
振り出しだろう(金平糖がこの口に入らないし入っても振り出すのは大変でしょう。)という人もいました。
店主は大きなものを作る前の試作品だとも言っていましたが。30年経った今でもこれには納得していません。
桂先生の箱が欲しいから手に入れたというのもありますが、小品ですが姿が良く楽しめる品です。



高台は糸切となっています。

桂又三郎の箱書きです。

西岡小十絵粉引茶碗

唐津陶の研究と作陶で知られる小十さんの絵粉引茶碗です。
小山冨士夫指導のもとで小次郎窯を開いたのが1971年・54歳の時だそうですから、私がこの茶碗に出会ったのはそれから5年後くらいの頃ではなかったでしょうか。小十さんの略歴をみると、その頃荒川豊蔵、藤原啓など錚々たる方々が窯に行っておられるようで、互いを刺激し合っていたのでしょう。今となっては皆様故人となった日本の名工達です。
この茶碗は売り物ではなかったのですが、当時親しくしていたお店の店主に無理矢理譲ってもらったものです。
その店主もこの碗は売り物にしないということで無理矢理小十さんに箱書きをしていただいたそうですが、帰途京都に立寄り、南禅寺さんの誰方かに残雪の銘を頂いたようです。
聞いた話ではこの碗は初めての粉引だったということですが、小十さんほどの作家が火割れの入った高台の茶碗を売り物にするはずもなく、店主も私に見せたのが運の尽きで小十さんとの約束を破ることになってしまいました。
40年以上も経ってもう時効ですけれど。

石ハゼの具合も程よく、鉄絵にも勢いがあります。

しばらく使用し、少しばかり雨漏りも出てきて残雪の風情が更に増しました。

見込みの茶溜まりもこれまたほど良く、茶筅摺りは滑らかに仕上がっています。

畳付きの座りがやや悪かったのでちょっと擦ってしまいました。これは少し後悔しています。

この頃の小十さんの字は勢いがあります。
作品も初々しい感じと勢いが感じられて大変気に入っている一品です。

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